SDS で伝えること

労働安全衛生法は、通知対象物を渡す会社がその物の情報を相手方に通知するよう決めています。通知対象物は、労働者に危険や健康障害を生じるおそれのある物として政令で定める物などです。

労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第五十六条第一項の物(以下この条及び次条第一項において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者(次項、第三項及び第九項並びに第百条第一項において「通知対象物譲渡者等」という。)は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第二項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。

通知する事項には、名称・成分・人体に及ぼす作用などが並びます。7つ目の「厚生労働省令で定める事項」は、労働安全衛生規則が決めています。

一 名称

二 成分及びその含有量

三 物理的及び化学的性質

四 人体に及ぼす作用

五 貯蔵又は取扱い上の注意

六 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置

七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

この通知に使う書類が SDS です。厚生労働省のページは、安全データシート(SDS)と書いています。

労働安全衛生法に基づく安全データシート(SDS)の記載に係る留意事項について

主に一般消費者の生活に使われる製品として渡すときは、この決まりから外れます。

ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。

この記事で見たのは、労働安全衛生法の SDS の決まりだけです。ほかの法律にある SDS の決まりは確かめていません。

ホームページで伝えるときは アドレスを伝えて見てもらうよう求める

労働安全衛生規則は、通知の方法の1つとして、事項を載せたホームページのアドレスとそのページを見るよう求めることを伝える方法を挙げています。アドレスには二次元コードなども含みます。

法第五十七条の二第一項及び第二項の厚生労働省令で定める方法は、磁気ディスク、光ディスクその他の記録媒体の交付、ファクシミリ装置を用いた送信若しくは電子メールの送信又は当該事項が記載されたホームページのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む。)及び当該アドレスに係るホームページの閲覧を求める旨の伝達とする。

ホームページに置くだけではなく、アドレスと見てほしいことを相手方に伝えるところまでがこの方法です。厚生労働省の通達によると、この方法は令和4年の改正で、相手方の承諾がなくても使えるようになりました。

法第57条の2第1項及び第2項の規定による通知の方法として、相手方の承諾を要件とせず、電子メールの送信や、通知事項が記載されたホームページのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む。)を伝達し閲覧を求めること等による方法を新たに認めたこと。

相手方が 容易に確かめられる方法で

通達によると、承諾が要らないのは、相手方が容易に確かめられる方法であればのことです。

化学物質の危険性・有害性に係る情報伝達がより円滑に行われるようにするため、譲渡提供を受ける相手方が容易に確認可能な方法であれば、相手方の承諾を要件とせずに通知できるよう、SDS等による通知方法を柔軟化したこと。

通知は 渡す時までに

通知は、通知対象物を渡す時までに行います。続けて渡す物で、もう通知してあるときは要りません。

法第五十七条の二第一項の規定による通知は、同項の通知対象物を譲渡し、又は提供する時までに行わなければならない。

ただし、継続的に又は反復して譲渡し、又は提供する場合において、既に当該通知が行われているときは、この限りでない。

人体に及ぼす作用は 5年以内ごとに確かめる

人体に及ぼす作用は、直近の確認から5年以内ごとに1回、最新の科学的知見をもとに変える必要があるかを確かめます。変える必要があれば、確かめた日から1年以内に変えます。

法第五十七条の二第一項の通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、同項第四号の事項について、直近の確認を行つた日から起算して五年以内ごとに一回、最新の科学的知見に基づき、変更を行う必要性の有無を確認し、変更を行う必要があると認めるときは、当該確認をした日から一年以内に、当該事項に変更を行わなければならない。

通達によると、確かめるのは今渡している物の SDS です。渡すのをやめた物の SDS までは含みません。

定期確認及び更新の対象となるSDS等は、現に譲渡又は提供を行っている通知対象物又は特定危険有害化学物質等に係るものに限られ、既に譲渡提供を中止したものに係るSDS等まで含む趣旨ではないこと。

この決まりが始まった日にあった SDS は、令和10年3月31日までに1回目の確認をします。

本規定の施行日において現に存するSDS等については、施行日から起算して5年以内(令和10年3月31日まで)に初回の確認を行う必要があること。

変えたら 変えた後を見られるようにする

5年以内ごとの確認で人体に及ぼす作用を変えたら、渡した相手方が変えた後の内容を適切な時期に見られるようにしなければなりません。ここでも、ホームページのアドレスを伝える方法が使えます。

前項の者は、同項の規定により法第五十七条の二第一項第四号の事項に変更を行つたときは、変更後の同号の事項を、適切な時期に、譲渡し、又は提供した相手方の事業者に通知するものとし、文書若しくは磁気ディスク、光ディスクその他の記録媒体の交付、ファクシミリ装置を用いた送信若しくは電子メールの送信又は当該事項が記載されたホームページのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む。)及び当該アドレスに係るホームページの閲覧を求める旨の伝達により、変更後の当該事項を、当該相手方の事業者が閲覧できるようにしなければならない。

通達は、知らせ直す方法の例を2つ挙げています。渡した先の記録をもとに知らせ直す方法と、ホームページで更新したことを分かりやすく知らせてその物質の SDS を簡単に見られるようにする方法です。

SDS等を更新した場合の再通知の方法としては、各事業者で譲渡提供先に関する情報を保存している場合に当該情報を元に譲渡提供先に再通知する方法のほか、譲渡提供者のホームページにおいてSDS等を更新した旨を分かりやすく周知し、当該ホームページにおいて該当物質のSDS等を容易に閲覧できるようにする方法等があること。

知らせ直す相手は、渡した先の記録を残している期間やその物の使用期限などをふまえて、合理的な期間で区切ればよいとされています。

確認の結果、SDS等の更新を行った場合、変更後の当該事項を再通知する対象となる、過去に当該物を譲渡提供した相手方の範囲については、各事業者における譲渡提供先に関する情報の保存期間、当該物の使用期限等を踏まえて合理的な期間とすれば足りること。

変えたときの通知は これから義務になる

今の法は、通知した事項を変える必要が生じたときの通知を「努めなければならない」としています。人体に及ぼす作用のほかの事項も含みます。

通知対象物譲渡者等は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により、変更後の同項各号の事項を、速やかに、譲渡し、又は提供した相手方に通知するよう努めなければならない。

令和7年の法の改正で、この「通知するよう努めなければ」は「通知しなければ」に改まります。施行は、公布の日から5年を超えない範囲で政令で定める日です。

第二条中労働安全衛生法第五十七条の二第二項の改正規定(「通知するよう努めなければ」を「通知しなければ」に改める部分に限る。)及び同法第百十九条第四号を同条第五号とし、同条第三号の次に一号を加える改正規定

公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日

厚生労働省の資料は、この改正で最初の通知(第五十七条の二第一項)の義務の違反に罰則を設けたとしています。

① 安衛法第57条の2第1項に規定する通知義務違反に罰則を設けるとともに、

② 同条第2項に規定する通知した事項を変更した場合の再通知について、努力義務規定を義務規定とした。

同じ資料の参考は、安衛法の規定として、通知の義務を「罰則無し」と書いています。

SDS交付等による危険・有害性情報の通知の義務(罰則無し)(第57条の2第1項 )

ホームページで確かめておきたいこと

ここまでの資料から、ホームページで確かめておきたいことをまとめます。

  • 取引先に、ホームページのアドレスや二次元コードで SDS を伝えている製品があるか
  • 伝えたアドレスから、その製品の SDS をすぐ開けるか
  • ホームページの SDS が今の版か。人体に及ぼす作用を変えたときに差し替えて、更新したことを分かりやすく書いたか
  • 伝えたアドレスが、今もその SDS のページにつながっているか(ページのアドレスを変えたときや、ホームページを移したとき)

この記事は2026年10月22日時点の資料による一般的な案内です。見たのは労働安全衛生法の決まりだけです。当てはまるかどうかは、製品や会社によって変わります。迷うときは、労働基準監督署や都道府県労働局に確かめてください。